六甲山系の真中にある、摩耶山にのぼる
【兵庫県・神戸市 2023.4.4】
以前書いたことがありますが、兵庫県の南東部にある六甲山は、東は宝塚から西は明石まで30km余の長さでひろがる山系(あるいは山塊)のことを言い、単独で六甲山という名の山があるのではありません。それゆえ一番高いところは山頂とは呼ばず、六甲山最高峰と言います。
今日はその最高峰からすこし西、六甲山系でいえば、ちょうど真中あたりに位置する摩耶山に登ろうと思います。
ところで六甲山の名の由来ですが、少々マユツバな話が伝わっています。
古代に大和(奈良)に都があったころ、海沿いの難波(大阪)まで出てくると、海の向こうに山(いまの六甲山)が見えました。「向こう」のことを古代には「むこ」と言い、向こうの山は「武庫山」、向こうの川は「武庫川」、「向こうの里」は武庫之荘と呼ばれ、武庫山はのちに六甲山と書きなおされ、音読みでロッコウと呼ばれるようになったとか。
なんだか眉唾物のようですが、たしかに六甲から流れてくる川に武庫川はあるし、武庫之荘という地名も尼崎市に実存しています。また六甲の麓にある高級住宅地としてしられる芦屋(あしや)は、葦(あし)でふいた屋根の家々がならんでいたことからそう呼ばれるようになったぐらいなので、案外ホンマかもしれません。
新神戸駅へ
六甲山の登山道はいくつあるのでしょうか。
東西に30余kmひろがり、その南北両側で考えると、まず登山口が30ヶ所かそれ以上。登り始めるとそれぞれに分岐があり、その分岐した道が複雑に交差します。
さらに上りと下りで道の組み合わせを入れ替えると、ほとんど無数のルートを独自につくることができます。
布引の滝
このルートの多さもあって、六甲山登山は人気があるのだと思います。
「六甲山を○○」といった本もたくさん出ていますが、ネットでしらべてその時期の花や紅葉、あるいは冬なら滝の凍結状態などを確認して「本日のルート」をオリジナルで組んでみるのも楽しいです。
「山さんの本日のルート」は、まずは布引の滝を眺め、布引ダムへあがり、そこで最終決定します。
布引ダム
ここで道が分岐します。
右は六甲全山縦走路で、そのまま摩耶山に登頂できますが、そこまでの道は稲妻坂、天狗道の名からもわかるように六甲山全体でも有名な急坂続きです。
それに対して左は渓流沿いをあるき、その川をトウェンティクロス(20回徒渉)する道で、たのしくハイキング気分で歩けます。
ただ川の水量が多いとなかなか難儀させられるのですが、布引の滝とダム湖の水量を確認したところむしろ今は水は少なめとわかりましたので、迷わず左へと進みます。
トウェンティクロス
山登りではなく、ハイキングとしてトウェンティクロスを歩くのも一計です。
神戸森林植物園へ東口から入り、ここで植物観察と森林浴を楽しんで、正門(西口?)からバスで駅まで戻ることもできます。
徳川道
徳川道をすすんで穂高湖までゆき、そこから南に折り返して摩耶山へと考えていたのですが、途中で桜谷道を通って摩耶山へという分岐がありました。
桜の季節に、桜谷という名にひかれ、予定変更します。ちなみにこの桜谷道を歩くのははじめてです。
桜谷道
桜谷の桜は見られませんでしたが、この桜谷道は椿のシーズンに歩くと、壮観だろうと思います。
掬星台
掬星台(きくせいだい)は、摩耶山頂の近くにある展望台で、車でもロープウェイでも上がって来られます。
ここから眺める夜景はたいへん有名で、大人気のデートスポットになっています。
人気ゆえか、以前は100万ドルの夜景と言われていましたが、いまはずいぶん言い値も上がり、「1000万ドルの夜景」となっていました。
なお名前の由来ですが、下界を埋めつくす街の灯りを星にたとえ、星が掬(すく)えるとのこと。
ロマンチックに縁のないオッチャンには長居は無用、山頂へ向かいます。
摩耶山頂、天上寺跡
天上寺は空海上人(弘法大師)がお釈迦さんの生母である、摩耶(マーヤー)夫人の像をここに祀ったのが起源と言われています。
お釈迦さんの本名は、ガウタマ・シッダールタ、元はシャキーヤ国の王子で、そのシャキーヤを釈迦と記したことから、俗称として釈迦とよばれています。ですから摩耶夫人は、釈迦国の皇后ということになります。
言うまでもなく、この摩耶山の名の由来は、摩耶夫人です。
青谷道
【アクセス】阪急三宮駅~新神戸駅~布引の滝~布引ダム~(トウェンティクロス)~(徳川道)~(桜谷道)~掬星台~摩耶山頂~天上寺跡~(青谷道)~阪急王子公園駅 28000歩
【満足度】★★★★★
危険な箇所はありません。案内板と標識が各所にあるので迷うこともないはずです。ただし5、6時間山道を歩きつづけるのでそこそこの体力は要ります。