若桜鬼ヶ城はたしかに因幡三名城の名に恥じない

【鳥取県・八頭郡若桜町 2023.9.30】
JR鳥取駅から因美線にのって南へ15分ほどで郡家(こおげ)駅、そこで若桜鉄道にのりかえて南東へ30分ほどで終点の若桜駅に着きます。
若桜は周囲を山に囲まれた小さな町で、町に山麓が接する鶴尾山の山頂部から尾根部分に曲輪を連ねるように若桜鬼ヶ城はあります。
鎌倉時代には城の原形は造られていたようですが、その後改修をかさね次第に城郭らしきものに仕上がってゆきます。戦国時代にはいると山中鹿之助(山中幸盛)率いる尼子再興軍の手に落ちるものの、すぐに毛利氏の重鎮・吉川元春により奪われます。

ところが羽柴秀吉による鳥取城攻めのさいにはすでに秀吉軍の拠点になっていたようです。鳥取城陥落後は秀吉の家臣・木下重堅が城主となります。この時点で大掛かりな改修が行われます。
しかし関ヶ原の合戦で西軍(秀吉方)は敗北、かわりに徳川家康の家臣・山崎家盛が入城し、さらに改修をくわえ近世城郭へと変貌してゆきます。

若桜鉄道、若桜駅

若桜鉄道は単線で1両だけのワンマン列車
車内はレトロな喫茶店のよう
机の上は厚紙のチケット、切符売り場でハサミを入れる
レトロな駅舎内
掃除道具や秤も骨董品

鶴尾山をのぼる

若桜町のマンホール蓋

若桜町のマンホールの蓋は、氷ノ山、川をおよぐ鮎、雪の結晶。
いかにも自然を満喫できそう。

八幡公園にあった案内板より抜粋

案内図を見ながら登攀計画を練りました。
右の【現在地】から赤いラインを登り、4本交差するところから青いラインをすすみ山頂遺構へ。
下りは周回するように赤いラインをすすみ、4本交差部では直進して体育館前登山口に下りるようにしてみます。

取っ付きは山道そのものですが、
やがて整備された道に変わります

若桜鬼ヶ城・三の丸~二の丸

石垣の残骸らしきものが出てきました
三の丸の石垣 / 野面積みでもやや進歩した穴太積み?
山頂城郭跡にあった案内板より抜粋

登ってきて今たどり着いたのが、案内板の一番上の三の丸です。
先ほど見た石垣は、案内板では上縁にあたる部分になります。
ここから二の丸、本丸とつらなる、いわゆる連郭式の曲輪配置で、本丸にはなんと天守があったようです。

三の丸から若桜の町を見る / 背後の山並み中央が氷ノ山
三の丸から二の丸を見る
三の丸の桝形虎口が残っている / 石の形が整っている?

本丸、天守台

二の丸から本丸へ
本丸へ
本丸奥に天守台跡がのこる
天守台からの眺め / 直進は但馬へ、右は播磨へ道がつづく
下に降りてみると、本丸をささえる立派な石垣が
急坂を下ります

六角石垣

六角石垣は山頂部のものより完全な形で残っていますが、
石組みは粗く、戦国時代前期のものと思われます
当時からあった道なのか、整った道をあるく
これはもしかして堀の跡なのか?

若桜鬼ヶ城は一般人でも容易に入手できる資料があまりにも少なく情報不足が難ですが、城郭そのものは過度に手を加えられておらず、町から40~50分ほどでたどり着けるにもかかわらず、深い自然の中に忽然と現れた廃城のイメージで楽しめます。
山頂への上り下りの道は、若干急な坂はあるものの全体的にハイキング気分で歩けます。往復だけなら1時間30分くらいでしょうか。
また若桜駅をふくめた若桜鉄道のレトロな構えは、存続のためのアイデアから出たものなのでしょうが、利用客を楽しませてくれる趣向がいっぱいです。

【アクセス】JR若桜駅~八幡公園~登山口~山頂城郭~六角石垣~体育館裏登山口~若桜駅
【満足度】★★★★☆