はじめて訪ねる新潟、まずは佐渡島

【新潟県・佐渡市 2023.10.29~31】
新潟県は東北地方へ旅するさいに通過したことがあるくらいで、遊びだけでなく仕事でも主な目的地として訪ねた経験がありません。それだけに知識も乏しく、「新潟県」と聞いてとっさに思いつくものは、さて、佐渡島、上杉謙信、コシヒカリ、といったところでしょうか。
新潟県は地図で見るだけでも東西、そして南北にもながく、一度の旅ですべて回るのはずいぶんきついのがわかります。そこで佐渡島をべつにして「上杉謙信、コシヒカリ」で検索してみたところ、ヒットするのは新潟県でも南西部に集中することがわかりました。
しかも北東部の中心である新潟市からだけでなく、南西部の中心である上越市の直江津港からも佐渡島へ船便があります。
これで旅程はきまりました。

佐渡島へ

このフェリーで佐渡島の小木港へ2時間40分
船内にあった案内
佐渡島が見えてきました

この日は天気があまり良くないだけでなく、風がつよくて寒いので、船内で(上杉謙信に関する本を読むつもりでしたが)ほとんど昼寝をしていました。

ところで直江津~小木の往復便は、11月12日までの運行で、翌日から翌春まで冬季休航になります。というわけで、今回の利用はぎりぎりセーフでした。

翌日、佐渡島周遊

加茂湖 / その先に両津港が見える

直江津から船がつく小木の町は施設がすくないので、新潟からの船がつく両津港近くに宿を取りました。
どちらにしても、シーズンを過ぎているので観光客は少ないです。ゆっくり静かに見学するぶんにはそのほうが良いのですが。

まず最初に、トキ保護センターを訪ねました

いったん絶滅した日本産のトキですが、中国からペアの個体をゆずってもらい、人工繁殖に成功、そこから放鳥して野生化させる試みを繰り返し、いまでは500羽ほどまで増えているようです。

最近では十分に個体が増えたので人工繁殖は中止し、自然の繁殖のみに任せるまでになったようですが、反面多数のトキが田圃のなかを歩きまわるため、またべつの問題が生じていると、以前レポートで読んだ記憶があります。

佐渡島北面の海岸

ここから佐渡島でのメイン目的地である佐渡金山に向かいます。

佐渡奉行所跡

佐渡奉行所跡

江戸時代が始まるのは1603年ですが、その直前に佐渡島の相川で金銀鉱山がみつかり、江戸幕府はそのスタートと同時にここを直轄領とし、奉行所を置きます。
その奉行所跡が当時と同じ場所に再現されていました。

役人が仕事や面談をするための館
金抽出の作業場(江戸時代のものを再現)

江戸時代当時、罪を犯したもの(だけでなく政府の方針に従わないものも)がうけるもっとも重い刑は死罪ですが、その死罪をかろうじて免れたものは流罪(るざい)となりました。流罪にも軽重があり、近流、中流、そしてもっとも重いのが遠流(おんる)で、この佐渡島への流刑もそれにあたります。
さて遠流の刑で佐渡島へ流されたものは、必ずと言っていいほどこの佐渡金山で強制的に坑夫として働かされていたようです。ところが当時の坑夫の労働条件はあまりに苛酷で、死人が続出したとか。
すなわち死罪ではないけれど、佐渡島への流罪はほぼほぼ死罪と同等だったということです。

選鉱場跡

奉行所跡から道路をわたると、選鉱場跡が見わたせる
この正式名称「北沢浮遊選鉱場」は昭和になって造られた
シックナー(左)は泥状の鉱石と水を分離し、鉱物を濃縮する
わずかに観光客はいましたが、無人だと不気味でしょう

鉱山坑道

佐渡金山入口
坑道 / 予約なしで入れるのは2コース
「道遊坑コース」を選びました
このコースは明治から昭和までつかわれた坑道を歩く
高任立坑 / 下へと坑道を掘っている(地表から659m下へ)
江戸時代に露天掘りをした跡 / 山が割れたかのよう
トロッコの軌道跡をあるいて出口へ

佐渡金山は堪能できました。
少々残念なのは、江戸時代初期から昭和までの長い期間にわたってこの金鉱山が営まれてきたのは事実ですが、それを見せるうえで、いつの時代を見せるのか焦点が定まっておらず、江戸時代の奉行所を見学したつぎには昭和の時代の選鉱場を見て、つぎの坑道も「宗太夫坑コース」を選べば江戸時代に再トリップ、ほかにもIT技術によってつくられた「アイランド・ミラージュ」という複合現実世界への旅もあり、頭を整理するのがたいへんです。

宿根木

中世から日本海航路のための千石船をつくることで栄えた宿根木浦を訪ねます。

小木民族博物館に再現展示された千石船・白山丸
この博物館の建物は大正時代の小学校を利用しているとか
宿根木の家並みは映画のロケにも使われています
当時のまま道幅が狭く、車も通れないので、
まるでタイプスリップしたかのような印象です
部分的には補修しているのでしょうが、全体としては二重丸

宿根木浦

船つなぎの石柱がいくつも残る
浦を歩いてみました
海底火山の活動により特異な景観ができ上がった
宿根木でみる夕陽

翌日、佐渡島を離れる

復路は青空のもと直江津へ
むかし読んだ「カモメのジョナサン」をふと思い出しました

【アクセス】小木港~両津~トキ保護センター~佐渡金山~小木民俗博物館~宿根木、レンタカーでまわる
【入場料など】トキ保護センター:400円、佐渡奉行所跡:500円、佐渡金山「道遊坑コース」:1000円、小木歴史博物館:500円
【満足度】★★★★☆