萬福寺では拝観料はらって作業現場を視察した、ん?
【京都府・宇治市 2024.6.6】
宇治といえば平等院が有名ですが、そこからJR線なら一駅、京阪線なら二駅北へ上がると、黄檗(おうばく)駅があります。その一風変わった駅名ですが、ちかくに黄檗宗の大本山・萬福寺があり、山号が黄檗山であることに由来しているのでしょう。
※山号とは寺院の頭につける冠名のようなもので、たとえば「比叡山(山号) 延暦寺(寺号)」と表記されます。
黄檗宗は臨済宗、曹洞宗とならぶ日本三大禅宗のひとつですが、もとの中国では臨済宗の一派だったようです。その中国の黄檗山萬福寺の住持をつとめていた隠元禅師を三顧の礼をつくして招聘し開山したため、山号を黄檗山とし、宗派も黄檗宗とあらためたようです。
日本における仏教伝来としては歴史的にずいぶん遅く、江戸時代になってから。しかも徳川4代将軍・家綱がじきじきに寺領を提供するほどの厚遇ぶりで、隠元禅師の意志を尊重したものか、寺内の伽藍も習慣も中国様式が色濃く残っています。
ところでこの萬福寺ですが、毎年冬になると御多分に漏れず「ランタンフェスティバル」なる夜間イルミネーションで集客をおこないます。入場料は1500円、払った金額に見合うかどうかネットで現場の画像をさがしてみたところ、これがとんでもなくセンスが悪い。
そのランタンフェスの画像を見たがために足が遠のいていたのですが、いまの時期ならランタンの飾りつけもないし、寺院本来の姿が見られると考えて訪ねてみました。
総門から三門
開山堂、天王殿
大雄寶殿、法堂
なんとか作業現場の備品や材料が見えないように撮影しようと努めていたのですが、ここで断念しました。どのように工夫しても画像のなかに入ってしまいます。
むしろ感覚的には作業現場の視察にきたかのようです、わざわざ500円の拝観料を払って。
こりゃダメだ
備品や作業道具が放置されているのは、作業にきている業者がだらしないだけではとも考えたのですが、よく見るとそうとも言えません。
たとえば斎堂内の祭壇ですが、装飾のセンスには触れないにしても、三角錐のうえに立つ赤い三角旗、はずれて落ちたものやら裏返ったものやら、そのまんま。
そしておみくじ販売機。ガチャでおみくじをひかせて良しとする発想も軽薄なら、そのガチャが簡易テーブルの上に無造作に並べられているのも頓馬、端にはガチャのカプセルをすてるゴミ箱がわりの段ボールが置いてある。要はセンスが完全に欠けており、言い方をかえれば、だらしない。
この漁梆を見たくてきたのですが、床に張られたビニールシートがブルーでなかっただけまだ救いだったと思って帰ります。
【アクセス】京阪黄檗駅から徒歩10分
【料金】萬福寺拝観料:500円
【満足度】★★☆☆☆