加西市の五百羅漢をたずねてモアイ像に思いはいたる
【兵庫県・加西市 2025.10.25】
羅漢像がびっしりならぶ、たとえば五百羅漢を見たいと思い、大阪周辺で探してみました。
京都市の石峯寺と兵庫県加西市の羅漢寺がヒット。
画像をじっくり見ていると、羅漢寺の羅漢像はどこかで見たような。そうです、なにやらイースター島のモアイ像を想わせる顔立ちのものが多数。気持ちは一気にこちらに傾きました。
羅漢とは阿羅漢のこと、仏教で最高の悟りをえた僧にあたえられる称号のようなものです。称号とはべつに単純にその境地に達した僧のことを「無学」と称します。「学がない」のではなく「すでに学ぶべきことがない」、なんと素晴らしい。
ちなみに「無学」に達していない僧は「学ぶべきことがまだまだある」ということで「有学」。
ところで最高の悟りをえて学ぶことがすでにない、といえばそれこそ仏陀ではないかと思うのですが、仏陀は釈迦にのみ与えられる称号で、その弟子たちはみんな阿羅漢。それゆえ五百もの羅漢像がならんでも胡散臭くはないということになります。
酒見寺

大阪からだとJR加古川駅で北条鉄道に乗り換え、
終点の北条町駅で下車

かつて羅漢寺はこの酒見寺の一部だったとか




酒見寺の宗派は高野山真言宗

それゆえ(空海上人の)御影堂が本堂の奥にあるはず
なのですが、うっかり確認するのを忘れていました
住吉神社

本殿は3棟がならぶ住吉造り
隣接していると言っても神仏習合の時代に、神社が寺の守護社で、寺が神社の神宮寺という関係ではなく、なんらかの縁で一緒に管理されることになったようです。


羅漢寺、五百羅漢


そこに羅漢像がびっしり





羅漢すなわち最高の悟りをえた僧ですから、菩薩や観音ではありません、僧すなわち人というべきなのでしょう。
寺の入口にあった案内板には、「いつ、だれが、なんのために造ったのか」それに答える史実も、資料も、言い伝えもなにもないと記されています。
確かなことは、火山灰が堆積してできた凝灰岩(加工しやすい)を彫って削って造っていること。その点はモアイ像と同じです。
おそらくは先祖の霊を祀るとともに、先祖の霊に守ってもらう意図で造られたのであろうこと。その点もモアイ像と同じです。
最近の調査でモアイ像の下から人骨が見つかったため、モアイ像のあるところは墓地だったのではないかとの説も唱えられています。
五百羅漢の立ちならぶ様をよく見てください。これを墓石とすれば、まさに墓地の光景です。
【アクセス】北条町駅から徒歩15分
【拝観料】羅漢寺:200円
【満足度】★★★★☆






