奈良・二上山のふもと當麻寺を訪ねる
【奈良県・葛城市 2022.8.21】
今日は大阪府との境にちかい奈良県葛城市の當麻寺(たいまでら)を訪ねてみます。
當麻寺は、伝説上の人物である中将姫が一晩で織り上げたとされる当麻曼荼羅で知られています。
寺が建立された当初の本尊は弥勒仏ですが、いまでは当麻曼荼羅そのものが本尊として祀られ、結果として弥勒菩薩をまつる浄土宗と、曼荼羅をまつる密教信仰の真言宗とが並立している、ちょっと変わった寺院でもあります。
なお當麻寺は当麻寺とも書き、この一帯を治めていた葛城氏一族の当麻氏の氏寺だったので本来は当麻寺だったとか、當麻寺を常用漢字にあらためると当麻寺になるとか(たしかに最寄りの鉄道駅は当麻寺駅となっています)、諸説ありますが、正確なところはわかりません。
紫色のマークが今回訪れた場所です。
當麻寺・仁王門
近鉄電車の当麻寺駅から10分ほど歩くと、當麻寺の仁王門(東大門)が見えてきます。
本堂・金堂・講堂
境内にて、梵鐘(手前)から奥の金堂などをのぞむ。
拝観料500円で、本堂(曼荼羅堂)、金堂、講堂の3つを見学できます。
本堂と金堂が別々にあること自体が奇妙なのですが、金堂には創建時の本尊・弥勒仏が祀られ、本堂には現在の本尊である当麻曼荼羅が祀られています。さらに講堂には阿弥陀如来坐像や千手観音立像が祀られています。
これらすべてで500円なら見てぜったいに損はないです。
当麻曼荼羅 https://taimadera.org/cultural/index.html
金堂 http://www.taimadera.or.jp/about/facilities/kondo.html
講堂 http://www.taimadera.or.jp/about/facilities/kodo.html
西塔
奥院
奥院へ通じる楼門は閉ざされているため、反対側の道を進みます。こちらも良い雰囲気です。
奥院拝観料300円
奥院は當麻寺内の塔頭であり、その中で最大のものです。
いわれは浄土宗の総本山知恩院の奥之院として14世紀に建立されたとのこと。
なお方丈とは住職の居所のことですが、かつてこの奥院にはふたつの方丈があり、「大方丈」「小方丈」と呼ばれていたのですが、いまは「大方丈」だけが残っているとのことです。
中之坊
中之坊は中小姫の守り本尊「導き観音」を祀っています。
また別に拝観料500円必要ですが、本堂・金堂・講堂三つで500円と同額とはちょっと納得がいきません。
とくべつ中小姫に興味関心がないなら、懐具合と相談すればよいように思います。
當麻寺は、双塔どちらも建立時のものが残っている点で全国唯一だそうです。
しかも東塔は奈良時代、西塔は平安時代に造られたもので、その違いを確認できるのも貴重な体験です。
ところでこれら塔の起源は、釈迦の遺骨(仏舎利)をおさめる目的でつくられた古代インドのストゥーパが中国に伝わり楼閣形式になり、朝鮮をへて日本に伝わるのですが、日本ではその中に何かをおさめるとか祀ることより寺のシンボルとして建てられていたように思えます。
三重塔も五重塔もじつは一階建て
http://syakeassi.xsrv.jp/507#:~:text=
二上山
ゆっくり拝観した當麻寺を後にして、二上山ふるさと公園に向かいます。
二上山は雄岳(517m)と雌岳(474m)の二つの山頂を持つ1体の山です。標高はそれほどでもないのですが、ピーク(頂)が二つあるので、登って降りてまた登ってとなるため、ハイキング気分で歩くと結構きついです。
御影堂として建立されたものだそうで、まわりの壁が長年のあいだに無くなったのではなく、元から40cm四方の方柱に四角い屋根を乗せた今の形だったそうです。
そして傘のような形から「傘堂」と呼ばれているとのこと。一見の価値ありです。
石光寺は天智天皇の勅願により建立された古刹ですが、むしろ中将姫伝説で有名です。
さきに訪ねた當麻寺本堂に祀られた当麻曼荼羅は、中将姫が一晩で織り上げたものと伝えられていますが、その際に糸をそめた井戸と、その染めた糸を掛けて乾かしたサクラの木がこの寺にある、ということです。
伝説とは言え、よく裏付けがされていて楽しいです。
456段の階段を登りきると、大阪(平野)と奈良(盆地)が見渡せます。
絶景とまでは言えませんが、なかなか良い眺めでした。
【アクセス】近鉄・当麻寺駅から當麻寺を経て、近鉄二上神社口駅まで歩きました。
【満足度】★★★★☆