琵琶湖をのぞむ三井寺に寄ってみた
【滋賀県・大津市 2022.9.3】
今日は、大津市歴史博物館で『仏像をなおす』のタイトルで近江にある寺(比叡山延暦寺、坂本西教寺、三井寺など)の仏像をいかに修復してきたかを見せてくれる特別展があり、それを見にきました。
その大津市歴史博物館のすぐ近くに三井寺(みいでら)があるので、せっかくですから寄ってみます。
紫色のマークが今回訪れた場所です。
三井寺・仁王門
三井寺は正式名称は園城寺(おんじょうじ)で、天台寺門宗の総本山です。
ところで三井寺(以後一般名で)は、7世紀に建立されますが、10世紀ごろから比叡山延暦寺との対立から幾度も焼き討ちに合います。
対立の理由は、同じ天台宗でありながら仏の教えに対する考え方の違いから分裂し、一部の門徒が山(比叡山)を下りて、この地にあらたな寺を開創したことで、結局は既得権益をどちらが有するかの争いになったわけです。
仏の教えとか悟りとかからはずいぶんかけ離れた、次元の低い争いです。
それにしても、三井寺は数えられるものだけでも計23回炎上しており、そのうち14回は比叡山延暦寺による焼き討ちだそうです。(そのほかは合戦による飛び火や落雷による火災です)
しかしそのたびに再興され、不死鳥の寺との別称があるとか。
それにしても当時の比叡山延暦寺の横暴には呆れます。のちに織田信長により比叡山焼き討ちが実行されますが、これを信長の残虐とする見方もあるものの、是とする見方もあって当然でしょう。
三井寺の歴史年表
http://www.shiga-miidera.or.jp/about/ct.htm
釈迦堂、本堂
釈迦堂(食堂)と金堂(中心となる本堂)を並べてみました。
ともに入母屋造りで、見た印象では釈迦堂のほうが凝っているようですが、実物を見るとやはり金堂の存在感は破格です。ちなみに金堂は国宝、釈迦堂は重文に指定されています。
寺院の向背はのちに付けられるようになった
http://www.caname-jisha.jp/cms/?p=910
三井晩鐘
歌川広重が描いた「近江八景」の中にふくまれる「三井晩鐘」とは、この三井寺の鐘が鳴る夕暮れ時の琵琶湖とこの一帯の風景を描いたものですが、画面のどこにも鐘は見当たりません。小さく三井寺らしき建物はありますが。
ちなみにこの鐘ですが、タダ(無料)で突くことはできません。一突き800円也! 三井寺そのものの拝観料(600円)よりも高い。
こちらは、先ほどの鐘よりも歴史は古いのでしょうか。
比叡山延暦寺が三井寺を焼き討ちした際、僧坊・弁慶が引きずって持ち帰ってしまったと伝わる鐘。
ところが比叡山の山上まで運び上げて、一突き二突きしたところ、鐘が「いのういのう」(帰りたい帰りたい」と鳴り響くので、弁慶が怒って谷間に投げ捨てたとか。それらしき傷も残っているので、よくできた話ではあります。
それにしても弁慶は札付きの乱暴者ですね。
閼伽井屋
閼伽井屋(あかいや)は天智、天武、持統の三天皇が産湯として使ったと言い伝えのある泉がわく場所です。
たしかに水が湧き出ている音が絶え間なく聞こえていました。
ところでここを有難い水場として「御井(みい)」とよび、そこから三井寺と呼ばれるようになったとの説もあります。
一切経堂
一切経堂には弓欄間あるいは火焔欄間とよばれる波型の欄間が上部を一周しており、そこから入る日光が堂内で独特の雰囲気を作り出しています。
弓欄間の中心には、宝珠とよばれる飾りがつくのが決まりになっています。
なお一切経堂には入ることができ、八角輪蔵を見ながら一周できます。独特の雰囲気に包まれたオススメの場所です。
三重塔
阿弥陀堂、観音堂
ここには、秘仏とされる如意輪観音座像があります。
この観音像は33年に一度しか開帳されないそうなのですが、2014年には開祖・円珍の生誕1200年を記念して、あるいは2020年には新天皇(令和天皇)の即位を祝って、など特別開帳が時々あるみたいです。
観音堂の境内から100段足らずの階段をのぼったところがちょうど良い展望所になっています。
大津絵に興味のある方はこちら
https://enman-inn.com/about/museum/
鬼子母神を祀る護法善神堂だけはなぜか拝観料のいるエリアから外にあります。
外れではなく、三井寺の正面中央に当たる位置ですが、訪れる人はほとんどいませんでした。
【アクセス】京阪石山線・大津市役所前駅から三井寺駅まで歩きました。
【拝観料】三井寺600円
【満足度】★★★★☆