龍王山に登り、長谷寺で桜を堪能する

【奈良県・天理市~桜井市 2023.3.27】
奈良県にある「花の寺」とも呼ばれる長谷寺で、桜が満開とのこと。
桜大好き人間としては早速訪れてみようと企画をはじめました。長谷寺探訪だけでは物足りないので、天理市の昨秋歩いた「山の辺の道」の途上にある長岳寺横から入山し、真東に上って龍王山に登頂、そこから南東にくだって長谷寺を訪ねるルートを組んでみました。

龍王山へ

黒塚古墳から満開の桜と龍王山を眺める
崇神天皇陵 / 後方に龍王山
今回は長岳寺参詣はパスして山に向かいます
涸れ沢状態の山道を歩きます

龍王山はむかし山頂一帯に山城がありました。
戦国時代初期に松永久秀に攻め落された、地元の豪族がつくった城なのでまだ石垣もないようですが、竹がたくさん生えているのは城づくりをした名残りではないでしょうか。城づくりも初期のころは、竹矢来といって竹をくんで防御の柵をつくるのが一般的でした。

龍王山に登る

シダの茂る沢の道
むき出しの沢の道
そこそこ急な坂道を上ると、これは虎口?
侵入者を防ぐ構造になっているのが分かります
不動明王の石像があり
柳本龍王社があり

龍王山頂

山頂

山頂は南城本丸跡のため広々としています。
どうやら少し離れたところに北城があり、そちらが中心になるようです。もしかすると北城にはもっと遺構があるのか?
調べてみて興味深いものがあるようなら、後日訪ねてみます。

山頂からの眺め

山頂からの眺望ですが、曇っているのではありません。黄砂の影響です。
通常なら平野の向こうに生駒山から二上山、大和葛城山、金剛山などが見わたせるはずなのですが – – –
それにもまして、この濁った空気を吸っているのかと思うとぞっとします。

道をまちがえる

山道をくだり、
林道をくだります
こんなところに出てきました

龍王山頂からは南東に下るはずが、真東に下っていたようです。
googleマップで現在位置を確認できたので難は逃れました。下ってきた山道を戻ったとしても正しい道が見つかるかわからないので、大回りにはなりますが一般道をあるいて長谷寺に向かうことにします。

まほろば湖

歩いていると川(運河?)沿いに桜が満開でした
初瀬ダムにより造られたダム湖につきました
「まほろば湖」と名前がつけられています
「まほろば」とは日本書紀にも書かれている、
「理想郷」のような意味の古語です

道を間違えたおかげで(?)、たいへん良いところに来れました。
旅上のハプニングは災難につながることもありますが、5割以上の確率で思わぬラッキーに恵まれ、さらに後日振り返ってみると、大半は楽しい思い出につながるように思います。

長谷寺へ

ダムから見下ろすと、下にも桜が満開
長谷寺に到着

長谷寺は真言宗豊山派の総本山です。
空海上人(弘法大師)が高野山でひらいたのが真言宗ですが、そもそも真言とは真実の言葉の意味で、仏の言葉、あるいは悟りを開いたもの(すなわち仏陀)だけが発することのできる言葉と解釈できます。
もとの真言宗の教えでは、形のない、眼には姿かたちとして見えない「世界の真理」すなわち「真言」を大日如来という仏の姿に象徴させてそれを崇め、ひたすら大日如来にすがることで「世界の真理」を悟り、「真言」を会得しようとしています。
ところがここで問題となるのは、「真言」を会得どころか真言の中身を理解できていない者(一般大衆)が、その真言の象徴である(本来は姿形がない)大日如来をどれほど崇め念じたところで、真言を会得することなどできるはずがないという矛盾です。
そこで登場するのが覚鑁(かくばん)上人で、極楽浄土に導いてくれる阿弥陀仏は大日如来の化身であり(すなわち同一のもの)、難しいことは理解できなくても、ありがたい阿弥陀さまをひたすらに崇め拝めば、真言を発する境地に到れると教えます。覚鑁上人は高野山で猛反発とさらには厳しい弾圧をうけ、山をおりて根来寺を開きますが、この覚鑁上人の教えを新義真言宗とよび、形式上もとのものを古義真言宗とよびます。
古義真言宗には高野山真言宗や真言宗東寺派があり、新義真言宗には真言宗室生寺派やここ長谷寺を総本山とする真言宗豊山派などがあります。
むずかしい話はこれぐらいにして、それでは桜を堪能しましょう。

長谷寺と桜

仁王門
仁王門から登廊がつづく
登廊
この辺りは桜で埋まっています
登廊の終点が鐘楼、右は本堂
三社権現
本堂前面の舞台 / 後方に五重塔
伽藍を見下ろす
開山堂あたり
本堂をのぞむ
五重塔
六角堂あたり
西参道あたり
入口受付近くにモクレンの巨木がありました

【アクセス】JR柳本駅~崇神天皇陵~龍王山~(県道50号線)~(県道38号線)~まほろば湖~長谷寺~JR長谷寺駅 30000歩
【料金】長谷寺:入山料500円
【満足度】★★★★★