室生山地に挑む、住塚山と国見山
【奈良県・宇陀郡 2023.4.9】
奈良県北東部、三重県との県境に接するあたりに、室生山地あるいは室生火山群とよばれる山塊があります。
これらの山々ですが、1500万年前の火山の噴火による火砕流堆積物が積みかさなって、ついには数百メートルもの堆積となり、さらに河川によって長い年月の間に浸食されて深い谷がつくられ、そうして特異な景観の山として現代にいたったものです。
特徴としては標高1000m前後の峰が突き立つように立ち並び、その側面は柱状節理とよばれる多角柱の岩肌をみせています。また登山するには斜面はいずれも急坂で、ときに断崖絶壁を横目に見ながら歩くこともあり、スリルもあれば体力も必要とされ、そこそこ本格的な山登りが体験できます。
10年ほど前にこの室生山地には魅せられて、全山登った経験があるのですが、このたび再度チャレンジしてみようと思います。まず最初は柱状節理の代表ともいえる名物の屏風岩を下から眺め、脇の道から背後へまわり、住塚山と国見山を登ってみます。
屏風岩公苑へ
大阪から近鉄電車でいったん三重県の名張まで行き、そこから1日数本のバスでおよそ1時間、長野バス停まできます。
公共交通機関をつかうと、これぐらいしかアクセスの方法はありません。
およそ1時間ほど歩いて屏風岩公苑に着きます。
車もはしる一般道とはいえ、勾配はけっこう急で、長野バス停が標高450m、ここが標高770mなので、すでに320mも登ったことになります。
屏風岩と公苑の桜
屏風岩は高さ200m、東西2kmにわたって鋸の歯のような岩壁がそそり立っています。
この岩壁の上を、いま見上げているのとは逆にこちらを見下ろしながら歩く道もあります。たしかに見事な眺望を楽しめますが、足がすくんでなかなか前に進めません。
今回は、久しぶりの室生山地トライということで、スリル満点のポイントはパス、屏風岩の西端まで歩いてそこから山道に入ることにします。
住塚山
住塚山は標高1009m。屏風岩公苑までに770m上がってきているので、きついながらも40分ほど頑張れば登頂できます。
ただし、ここから縦走路を歩くのではなくアップダウンを繰り返します。
国見山
左端が倶留尊山と曽爾高原、中央が古光山、後方は三重県の鈴鹿山系(でしょうか?)
今日はそこそこ空気が澄んでいて、この時期にしてはかなりすっきり見渡せます。
松ノ山
松ノ山は眺望もなく、それどころか山頂の標示もありません。
ところで、これで大きな上りは終わりました。あとは下りながら室生寺方向へ向かいます。
クロタワ
クロタワに着きました。ここからは東海自然歩道に合流します。
ところで、峠の反対の鞍部のことを登山用語でタワといいます。【嵶】こんな字を書きます。どうやら撓む(たわむ)からきているようです。
東海自然歩道
龍穴神社
最後に龍穴(りゅうけつ)神社にお参りします。
この神社は雨乞いの神様を祀っていますが、案内板によると、歴史はたいへん古く、この先にある名古刹・室生寺は龍穴神社の神宮寺として建てられたそうです。
神宮寺とは、神仏習合の時代に神社の付属としてつくられた寺のことをいいます。
【アクセス】
近鉄名張駅 ➡(三重交通バス)➡ 長野バス停~屏風岩公苑~住塚山~国見山~松ノ山~クロタワ~(東海自然歩道)~宇野川橋~龍穴神社 ➡ (奈良交通バス)➡ 近鉄室生口大野駅 28000歩
【満足度】★★★★☆
道標はしっかりあるので道に迷う心配はありません。危険な箇所は多少はありますが、じゅうぶんに注意して歩けば、特別な技術は必要ありません。ただしアップダウンの繰り返しで、しかも坂道の勾配がきついため体力は要ります。