綿向山は大雨の災禍をさけて安全道をのぼる

【滋賀県蒲生郡 2023.6.4】
滋賀県と岐阜県、三重県の県境にそって鈴鹿山脈はあります。その連なりのなかでずっと南、さらにぐっと西に突き出たところに位置するのが綿向山です。
標高は1110mありますが、山容はおだやかで、登るのにそれほど難儀することはありません。
ただ、一昨日は線状降水帯が各地に発生する大雨で、このあたりもずいぶん降っています。そうなると地盤が緩んでいる恐れもあり、細心の注意が必要です。

バス停から登山口へ

バス停から一般道路を歩いて綿向山へ
間道に入ります / 真中、奥が綿向山
林道を登山口へと歩く / 水路を流れる水量が多い
渓流の水量も多い
ヒミズ谷出合小屋 / ここが登山口

綿向山へ登るには4つのルートがあります。
このヒミズ谷出合小屋のある登山口からは、画像で見て左の道を上るのが表参道ルートで初級者向き。右へすすむ道はヒミズ谷をさかのぼるルートで体力技術的には中級ですが、切り立った狭い道があるので要注意と看板が出ています。大雨で地盤が緩んでいて、その切り立った狭い道から土砂ごと落っこちるのも嫌なので、今日は初級者にもどって表参道を歩きます。

5合目まで

坂道はそれほど急ではありません
岩だらけのところも危険はなし
植林帯のなかを九十九折でのぼる
早くも4合目の標示
5合目の避難小屋 / 琵琶湖方面が見える

最終的に分かったことですが、5合目までは針葉樹の植林帯の下、九十九折の坂道をのぼる、楽といえば楽ですが、単調で面白みのない登り。
ところが5合目からは自然の広葉樹の(いまなら)新緑の下、変化に富んだ道をあるくたいへん楽しい登りです。

山頂まで

6合目の谷沿いの道
7合目あたりのブナ林
8合目の涸れ沢
私的表現ですが、「情感のある山歩き」が楽しめます
新緑の垣間から下界をのぞむ
9合目から樹木がまばらに
最後にこの階段をのぼると山頂

なぜ山頂に鳥居があるかというと、天穂日命(あめのほひのみこと)を祀る馬見岡綿向神社が山麓の日野町にありますが、そもそもはこの綿向山の山頂に祀られていたものだそうです。
また綿向山の名の由来については諸説ありますが、天穂日命が農業の神様で、とくに蚕に関係していることから名付けられたとも言われています。
ともかくこの石段を登りきれば、そこが山頂です。
言い忘れていましたが、この神社があるためもっとも安全な山道は「表参道」と呼ばれています。

山頂

神社の祠は(おそらく強風対策で?)小さい
左手前のずんぐりしたのが雨乞岳、その右奥の尖峰が鎌ヶ岳
琵琶湖から湖南方面

下る道ですが、祠から左奥へと進むと、竜王山のピークをつたって西明寺口へ至るルートがあります。以前にこの綿向山に登った際にはその道をつかったはずなのですが、なにしろ15年ほども前のことなので詳しいことは覚えていません。そもそも尾根道を歩くことになるはずなので、地盤が緩んでいて谷どころか尾根から土砂もろとも落っこちるのも有難くないので、今日のところは安産第一として登った道を引き返すということにします。

ふたたび表参道を下る

まず階段を一気に下ります / なかなか爽快
危険なところもなく、急坂もないため
平地を足早に歩くように歩が進みます
早々と登山口まで戻りました

ヒミズ谷出合小屋のある登山口を基点にいうと、山頂まで登りは1時間40分、下りは1時間くらいでした。
(この登山口まで徒歩20分ぐらいのところに駐車場があります)
危険な箇所もなく、坂はおおかた緩やかで、標識や案内板も完備、途中に休憩できる小屋やトイレもあります。これで標高1110mの山登りを体験できるのですから、まれに見る山といえます。
また5合目までは植林帯の下を九十九折にあるく少々退屈な道ですが、5合目から先はおおいに楽しめます。そして山頂からの眺望は抜群、ときたら初心者の方にもぜひ登ってもらいたい山です。

バス停へ

白い花が群生していました
ヒメウツギです
往路とおなじ道は避けて林道を歩くことに
ところが出口(逆だと入口)が厳重に閉鎖されていた
農道から綿向山を返りみる

林道の最後で鉄柵と鉄扉にかたく閉ざされる事態になりました。
本来は通行禁止ということなのでしょうから詳しくは書きませんが、ずいぶんアクロバティックな行動でこの鉄柵は超えました。
ふり返ると、今回の登山ではこの鉄柵超えが最大の難所だったかもしれません(笑)

【アクセス】JR近江八幡駅 ➡ 北畑口バス停~御幸橋~ヒミズ谷出合小屋~(表参道をのぼる)~山頂~(表参道をくだる)~ヒミズ谷出合小屋~北畑谷林道~北畑口バス停 ➡ JR近江八幡駅
【満足度】★★★★☆

山登り,滋賀

Posted by 山さん