高野山奥の院をあるき、高野三山にのぼる

【和歌山県・伊都郡高野町 / 2023.7.20】
「高野山」については、地理上に高野山という名の山があるのではなく、標高1000mの山々に囲まれた、標高800mの山上盆地につくられた寺院と、それにともなう町全体をさします。
それゆえ町すなわち高野山全域が寺の境内であり、なかでも奥の院一帯は、修験道がつうじる「高野三山」とよばれる山々にすっぽりとかこまれ、いかにも聖域といえる独特の雰囲気につつまれています。
今日はその奥の院をあるき、高野三山にのぼってみます。

この山登りに関心のある方は、YAMAPで山道の状況などをご確認下さい。

高野山奥の院

奥の院入口

今日はそこそこ長い歩きになるので、極楽橋駅からケーブルカーで高野山駅、そこからバスに乗って奥の院入口まできました。
料金はあわせて840円、しかしあるくと2時間かかるのでここは目をつぶります。

それにしても涼しい。
午前10時現在、大阪市内はすでに30度を超えているはずですが、ここでの気温は25度。しかも都市熱がないので体感気温はさらに低く感じられます。

樹齢1000年超えの杉の巨木が立ち並ぶ
その巨木と一体化したように墓がたたずむ
武田信玄と勝頼の墓
武将の墓も多数ある
奥に進むにしたがい厳かな空気が濃密になる
奥の院の参道は全長2km

奥の院には、110家の戦国大名の墓があるそうです。
なかでも比叡山をせん滅し、最後まで本願寺および一向宗徒と戦い続け、さらにはここ高野山の焼き討ちも計画していた織田信長の墓まであることには、その受け入れる懐のひろさに感嘆します。もっとも信長の死後にこの地に(も)墓がつくられたのでしょうから、本人の意思ではなく、家臣の誰か、おそらくは秀吉あたりの采配でしょうか。
ちなみにここには秀吉(豊臣家)の墓もあります。信長の墓に近く、参道に面したずっと良い場所で、はるかに立派な墓です。これはいったい何を意味するのか、まあ今日は山登りにきたのであって、歴史探訪はむこうに置いといて深く考えずにやり過ごします。

ちなみに奥の院の最奥に弘法大師(空海上人)の廟があります。真言宗の教えでは、弘法大師は亡くなったのではなく入定した(魂は生きて瞑想している)のであり、56億7千万年後に弥勒菩薩とともに復活して現世の人々を救いに来ると考えられており、そのためその廟一帯は近づけますが完全に撮影禁止です。

高野三山にのぼる

奥の院(左)を出て、右の車道をのぼる
途中から林道に入る
林道はやがて山道になり、
摩尼峠に着きます

摩尼山(まにさん)

しばらく急坂がつづきます
もうひと頑張りです
摩尼山頂

山頂は祠がひとつあるだけで、眺望もなく、「少々残念」の評価しかできません。

楊柳山(ようりゅうさん)

斜面につくられた道をあるき、
藪をかき分けるように進み、
またひとつ峠を越え、
樹林帯の下でアップダウンを繰り返し、
楊柳山頂

この山頂は比較的楽に登りきれましたが、それにしてもここも小さな祠がひとつあるだけで、眺望はなし。

粉撞峠(こつぎとうげ)

同じような風景がつづくので、せめて視線をあげて
少しばかりですが、違う写真を撮ってみました
粉撞峠

粉撞峠まで来ました。
ここまでは高野山奥の院の後方を囲む山をぐるっと回っていたわけですが、ここにきて側面に回りこんだことになります。
ところでここまではまったく登山者に会わなかったのですが、この峠ではじめて2人組の白人女性に遭遇しました。
それほどに人気がないのかという思いと、外国人ですら関心をもって歩いているのかという思いと。

転軸山(てんじくさん)

粉撞峠で黒河道と合流するためか道が広くなる
自然遊歩道のような道を歩き、
またひとつ急坂を登ると、
転軸山頂 / ここも同じ風景

高野山の町を抜ける

金剛峯寺境内の横(裏側?)を歩き、
女人堂のまえを通って不動坂をくだる
新道が路肩崩れのため旧道で迂回する
旧道は使われていないためずいぶん荒れています
やっと視界が開けて山並み(転軸山)が見えました
極楽橋駅と高野山駅をむすぶケーブルカーが通過
極楽橋の向こうを「特急こうや」が走り抜ける

【高野三山をのぼって歩いた感想】
山道そのものはそれなりに趣きはありました。しかし同じような道がえんえんと続くのにはいくぶん飽きがきました。
また視界が開けるところがほぼないのは閉口します。
最後の不動坂で新道が通行止めのため旧道を歩くことになりましたが、これは思わぬ収穫でした。

最後に、各山の標高
摩尼山 1004m、楊柳山 1008m、転軸山 911m

【アクセス】南海極楽橋駅➡ケーブル高野山駅➡奥の院前バス停~奥の院~三山周回道入口~摩尼峠~摩尼山~黒河峠~楊柳山~粉撞峠~転軸山~女人堂~不動坂(新道から旧道へ)~極楽橋駅
【満足度】★★★★☆(評価は奥の院散策も含めて)