お市が嫁いだ浅井長政の城・小谷城

【2023.9.23 滋賀県・長浜市】
織田信長が確固たる同盟をむすぶため、美貌の妹・お市を嫁がせたのが北近江の領主・浅井長政です。
浅井(あざい)氏はその祖父・亮正(すけまさ)の時代に勃興し、父・久政、そして長政へと3代にわたり、北近江での地位を盤石なものにかためると同時に、いまの長浜市街の北に位置する小谷山(おだにやま)に居城を築きます。それが小谷城です。
今日は、その小谷城を訪ねてみますが、それに合わせて、後年長政が裏切ったことから怒り心頭に達した信長がその小谷城を攻め落すべく、秀吉(この当時は木下秀吉)をして前線基地をつくった虎御前山の城郭(虎御前山城)も訪ねてみます。

(いまキーボードで「おだにじょう」と打っても「尾谷上」とか「小田二条」などと出てきて、「こたにじょう」と打つとすんなり「小谷城」となりますが、読み方はまちがいなく「おだにじょう」です。ついでに言っておきますと、ここでいう浅井は、過去には「あさい」と読んでいたようですが、その後の調査研究で「あざい」と修正されています。)

虎御前山へ

虎姫駅前にあった案内板より一部切抜拡大(10:20)

虎姫駅より②矢合神社へ向かい、案内板の通りに①虎御前山へ上がり、そのまま直進して反対側に抜け、北上すると小谷山です。

徒歩ならば左の階段、車ならば右の車道を進みます
まず矢合神社に参拝します (10:44)

虎御前山城

丹羽長秀の陣跡 / ここだけは覆う樹林がなかった (10:57)
空堀跡
堀や曲輪の跡がはっきり確認できる
ビックリするくらい「○○跡」がよく残っています
信長の陣跡と思われる場所 (11:22)
秀吉の陣跡と思われる場所
秀吉の陣跡近くからは小谷山がよく見える (11:41)

「小谷城のついで」くらいの気持ちで立ち寄ったのですが、これは収穫でした。
保存状態がたいへん良く、しかも過度に手を加えておらず、歩くにも「ハイキングコース」に指定するくらい歩きやすく整備されています。

小谷城へ

虎御前山を下りるとすぐに、稲穂の後ろに小谷山が見えます
小谷山の麓にある「小谷城戦国歴史資料館」着 (12:06)
歴史資料館の前にあった案内板

史料館(現在地)から右翼の山稜に入り、金吾丸から本丸、小丸、山王丸と登り、六坊をへて山頂の大嶽へ。
下りは真中のくぼんだ部分(清水谷)をくだってお市や三人娘が暮らした御屋敷跡を見て、この場所に戻ってくるようにします。

ところで「小谷城戦国歴史資料館」について、(あくまで個人的な感想ですが)入場料300円は高くはないものの、その300円でアイスクリームと缶コーヒーでも買った方が良かったな、と。

涸れた渓流跡のような道をずんずん登ります
途中の展望所で休憩 / 正面に琵琶湖と竹生島(小さな島)

小谷城・番所から本丸へ

番所跡に着きました / 主城郭への入口です (13:04)
各ポイントにイメージするための図があります。
左前方に横たわる山丘が先ほど上がった虎御前山

山城ですから当然のことですが、随所からたいへんよく近景、遠景を眺められます。
その眺望がどこから見るものも琵琶湖をふくむ優しい風景で、この城が戦国時代につくられた戦うための城であったことを忘れさせます。

馬屋敷跡と馬洗池
浅井家の重臣・赤尾屋敷跡 / 長政はここで自刃した
大広間への入口、黒金門跡
本丸曲輪をまもる石垣
本丸から大広間を見る
本丸から大広間のイメージ画
長浜市街から彦根方面と琵琶湖を見渡しています

小谷山頂に「大嶽城」を築いたのが祖父の亮政、すこし下って小丸を築いたのが父の久政、さらに下っていま残る本丸は長政が築きました。
それでも不便と感じたようで、浅井家を滅ぼしてのち、この地を信長からあたえられた秀吉はこの堅城を放棄し、琵琶湖畔にあらたに自分の城(長浜城)を築いています。

小丸から大嶽へ

堀切跡や
石垣が随所に残っています
山王丸をささえる、現存する一番大きな石垣 (13:53)
それでは大嶽(小谷山頂)へ向かいます
長い階段道を上ります
こんな景色が見られるので登りも苦になりません
山頂はけっこう広々としていました (14:24)
大嶽のイメージ画
大嶽から琵琶湖をのぞむ / 中央の小島は竹生島

城の保存状態も良く、各ポイントにイメージ画を置いてくれているのは行き届いたサービスだと思います。(その画が登るにしたがい、手が足りないのか徐々に汚くなるのが玉にキズ)
また時折みられる琵琶湖をふくめた風景もたいへん美しいだけでなく、やさしく心を和ませてくれ、すばらしい山城散策を楽しめました。

下山

大嶽からすこし戻り清水谷を下ったのですが、
この下山道がまた味わい深くて良かった
蛙岩 / そう思ってみるとカエルにみえる?(14:57)
巨岩の横も通ります
御屋敷跡 (15:07)

ここでお市と長政が暮らし、茶々をはじめとした三人娘が遊んでいたのかと思うと – – – 残念なのはここにはイメージ画がなかったことです。
これだけ木々が茂っていると、どこに部屋があって庭があってと想像するのがむずかしい。

ここまで下りてくると、最初にみた史料館はもうすぐです。

小谷山を後ろにひろがるソバの花畑 (15:40)

最後の最後に、河毛駅に向かう途中で、ソバの花が咲いていたので撮影しました。

【アクセス】JR虎姫駅~矢合神社~虎御前山城~小谷城戦国歴史資料館~小谷城~大嶽~(清水谷)~御屋敷跡~JR河毛駅 22000歩、所要:5時間30分
【出費】小谷城戦国歴史資料館 300円
【満足度】★★★★★