今年最後の見て歩きは、桶狭間の戦い

【愛知県・名古屋市~豊明市 2023.12.29】
桶狭間の戦いは、兵力ではるかに劣る織田信長が今川軍に奇襲をかけ、義元の首を獲り勝利したことで大きく飛躍するきっかけとなったとしてあまりにも有名です。
今日はその関係地を見て歩くにあたって、土地名をしっかり確認しながら予習をしておきたいと思います。

桶狭間古戦場公園にある案内図より抜粋

信長の父・信秀の時代から尾張で台頭してきた織田家と、駿河・遠江の守護である名門・今川氏はその領土をめぐって争いの絶えない関係でした。
信秀が亡くなり織田家は信長が受け継ぎますが、そのとき弟とのあいだに家督争いがおきます。そのゴタゴタに乗じて今川氏はまず鳴海城(上の地図の左上)を調略により落とし、つづけざまに沓掛城、大高城を奪い取ります。
こうして尾張をしだいに侵食しながらもそれ以上は積極的に侵攻しなかった今川義元ですが、北の武田氏、東の北条氏と縁戚関係をむすぶことで後顧の憂いをなくすと、ついに上洛を決断します。(この上洛は天下取りのための布石とする説と、単に領土を西へ拡大するためとの説があります。

大高城

JR大高駅をでると、やがて大高城の城山が見えます
登り口付近のこのあたりも曲輪跡
ここが主郭部分のようです
大規模な空堀
曲輪と曲輪を仕切る堀切跡?

さて義元ですが、みずから駿河を発つまえに先鋒を先立たせ、本人は後からゆっくり進軍します。このあたりを見ると、やはり織田軍を侮っていたのかもしれません。
尾張国に踏み入れるとまず沓掛城に入り、そのころ人質として臣下させていた松平元康(のちの徳川家康)に命じて、翌日向かう予定の大高城に兵糧を運ばせます。織田軍との戦より、明日の晩飯の中身の方が気になったのでしょうか。
織田方ですが、大高城をうばわれた段階で逆に敵城となった城をかこむべく鷲津砦、丸根砦を築いて対抗しますが、この時は激戦のすえに両砦は落とされ松平元康は兵糧を大高城に搬入してその任を果します。

鷲津砦

いったん大高駅にもどり、駅のすぐ北にある鷲津砦へ
ここが曲輪跡なのか、わかりません
石碑のたつこの場所は曲輪跡でしょう

丸根砦

鷲津砦から20分ほど歩くと丸根砦
これは堀の跡か、後世の道か?
石碑のたつこの平坦地はいかにも曲輪跡
丸根城から大高城を望む(中央の右側の丘陵)

信長は鷲津砦と丸根砦が敵に落とされたことを聞いてやにわに動き始めます。これが夜明けごろのことだったようで、「信長公記」によると敦盛を舞い、湯漬けを掻きこみ、単身馬にまたがり(5,6人の小姓がなんとか追いつけた)まず熱田神宮へむかい必勝祈願します。
一方の今川義元は朝も遅めに沓掛城を発ち、よほどゆっくりだったのか進軍ルートで測っても10kmとはない桶狭間に昼頃到着、暑い時期だったので兵士たちも軍装をといて日陰にはいり昼食をとります。

桶狭間

大池の向こうが桶狭間とよばれる一帯
いまは坂沿いに住宅が立ち並ぶここが桶狭間山

信長ですが、熱田神宮をあとにすると鳴海城に相対する善照寺砦(中島砦とも)に入り、そこで軍勢がそろうのを待ちます。ちなみにこの時の信長の総軍勢は2千または3千。一方の今川軍は2万5千から4万との説があります。またここから先についても、信長は迂回して奇襲したとする説と、正攻法でまっしぐらに敵陣に突っ込んだとする説がありますが、ともかく信長は斥候(偵察)から今川軍が桶狭間で休息しているとの報を得ると、一駆けで桶狭間まで急進します。このとき信長にとっては幸運なことに目の前さえ見えないような豪雨があったというのは事実のようですが、その豪雨の中を織田軍が急襲したというのはウソです。目の前が見えないのは今川方も織田方も同じです。実際のところは、信長は敵軍のまじかで豪雨がおさまるのを待ち、視界が晴れるや軍装もといて昼飯を手に右往左往している今川勢に襲いかかります。

桶狭間古戦場公園の信長像(左)と義元像(右)
義元が討ち取られたと伝わる地
そこには義元の墓もある

沓掛城

予定にはなかったのですが、見て歩いているうちに沓掛城も訪ねてみたくなり、Google mapでみると歩いて1時間20分となっており、自分の足なら1時間ほどなので、思い残しのないよう行ってみることにしました。

桶狭間から6km
ちょうど1時間で沓掛城址に着きました
想像していたよりずいぶん大きな城です
外堀の立派なのには感動しました
これは内堀

沓掛城はただ曲輪と堀の跡だけがのこる土城とでも呼ぶべきものですが、城の原型として見るならば大変興味深い史跡です。
個人的には訪ねてみて良かったと、名鉄前後駅へさらに3.5kmの道のりをホクホクしながら歩きました。

【アクセス】JR大高駅~大高城~鷲津砦~丸根砦~桶狭間古戦場~沓掛城~名鉄前後駅 28000歩、5時間30分
【満足度】★★★★☆