六甲山・杣谷をのぼりシェール槍、谷々を下って谷上へ

【兵庫県・神戸市 2025.9.2】
今日の大阪の最高気温は36度と相変わらずの猛暑日予報ですが、神戸はうらやましいことに33度。
神戸を主体にすると、北に連なる六甲山系と、南に面する瀬戸内海、さらに南西にある淡路島、それらの位置関係が(神戸の気候にとっては)たいへんよく、風や潮流がバランスよく夏でも市内を冷やしてくれるみたいです。大阪はもちろん、周辺の西宮や明石にくらべても夏の気温はいつも低めです。
もっとも神戸に住む知人がいうには、神戸も大阪も暑いのは同じだとのことですが。

それはさておき、六甲山系は東西30kmにわたって連なるため芦屋市、西宮市、宝塚市にも複数の登山口があります。
今日は「周辺の市より3度も気温が低い」に惹かれて、神戸市灘区の阪急・六甲駅からスタート、やはり神戸市北区の神戸電鉄・谷上駅をゴールとします。

登山口へ

神戸護国神社にあった案内板より

阪急六甲駅で下車して市街地を西へあるき、神戸護国神社の角をまがって北(山方向)に向かいます。
その護国神社に摩耶山登山案内があったのでアップします。(摩耶山も六甲山系の一部です)

案内図右下の【現在地】からひたすら北へ、杣谷をのぼり、杣谷峠へ、そこから穂高湖をまわってシェール槍に登頂、シェール道を西に進み、(そこから先は案内図にありませんが)北へまがってマムシ谷、炭ヶ谷をくだって谷上駅へ。

護国神社からまだしばらくは住宅地を歩きます

登山道全体を確認するにはYAMAPなど山のアプリが良いですが、六甲山の登山ルートはたくさんあるので、好みのものを選ぶには「六甲山ビジターセンター」のサイトを見ると参考になるのではないでしょうか。

住宅地を抜けると、この橋に出ます
橋をわたって右が登山口
すぐに山道に変わります
日陰と土の地面、さらに生活排熱がないので
いきなり体感気温がぐっと下がる

徳川道沿いに杣谷をのぼる

杣谷川の渡渉もあれば、
いかにも六甲山らしい岩盤質の山肌
ずいぶん細いところもあります

いま歩いている道は徳川道。
江戸時代末期に、いまの神戸市三宮あたりの西国街道路上で、備前藩の武士がフランス人水兵を斬りつける事件が発生。
列強国がこの事件にかこつけて強談判してきたため、その武士を切腹させるとともに、今後のトラブルをさけるためなんと毛糖(漢字がちがうので差別用語ではない)に西国街道を優先使用させ、日本の侍には六甲山中にわざわざ迂回路をつくってこの道を使わせたとか。
徳川幕府がつくったゆえに「徳川道」といま呼ばれているようです。

水流量調整のための堰堤もいくつか越えます

ほかにもこの道は「カスケードバレー」と名づけられていますが、カスケードとは「階段状に連続する滝」のことをいうので、この連続する堰堤で階段状の滝ができあがっていることから、きっとそう呼ぶようにしたのでしょう。
(現実にはその名はまったく定着しておらず、文字で見たことはあっても耳で聞いたことはありません)

木立の隙間から摩耶山がみえる
巨岩がゴロゴロ、まさに六甲山の風景
この石段は江戸時代のものでしょう
ここでは短いながら渓流登りを体験

杣谷峠から穂高湖へ

ここが杣谷峠、と思います(標識がない)
両側の石積は徳川幕府作のはず、かつては
これくらいの整った道が終始続いていたのでしょう
いまの時代の「峠の休憩所」
穂高湖を周回する遊歩道をあるく

さてこれから登るシェール槍と、つづいて歩くシェール道ですが、その名の由来は大正時代に神戸に暮らしたドイツ人のシェール氏が六甲登山のさいに好んで歩いた道ゆえシェール道、その道のつづく先の峰ゆえシェール槍と名づけられたとか。
なんだかなあ、と思いませんか。
大阪の金剛山には千回、二千回はざらで、なんと五千回登攀をやりとげた方までいます。
しかしスズキ道とかタナカ峰とか、そにょうな名称はどこにもありません。

シェール槍、シェール道

高度でいえば、5~10mほどですが、
このような岩登りが2ヶ所あります
ふり返ると、穂高湖が
初心者でも登れないレベルではない、
と思います
シェール槍山頂から / 左に見えるのは摩耶山

シェール槍とシェール道の名の由来についてさらに調べてみました。
明治時代から大正時代にかけて神戸に暮らした外国人が六甲山でレクリエーションとして登山したり、湖で遊んだりをするようになり、山道も彼らが自費(自力?)でつくったようです。
それゆえシェール道と名づけられ、道づくりの御礼方々シェール槍としたのでしょうか。

シェール道はここで右に下ります。
<六甲山中は標識はそろっています>
このあたりも良い雰囲気です
下りということもあって快調に歩を進める
一旦車道に出て5分ほど歩きます

まむし谷、炭ヶ谷

まむし谷を下る

道の名が外国人名から和名になったと思ったら、いきなり「まむし谷」ときた。
このギャップは何なんでしょう。

この谷ですが、幸運にも?マムシは見かけませんでした。ただし道はそもそもが涸れ沢なのでしょう、石と木切れが散乱し歩きにくいことこの上なし。
「マムシがいるのかとビビったところ、マムシがいるよりはマシだろう」と納得して歩かせるために、「まむし谷」の名で牽制しているものと解釈しました。

やがて炭ヶ谷につづきます

こうして炭ヶ谷を下ってゆくと阪神高速道路の高架下をくぐり一般道に出ます。
そこで左折して15分ほどで谷上駅に着きます。

このルートははじめて歩きましたが、なかなか趣きのある、オススメできるコースです。
坂道は全体的におだやかで、(私は体調が万全でないのでしばしば立ち止まりましたが)、通常であれば息が切れるというほどの急坂はありません。
シェール槍をのぞけば、難所や危険箇所もありません。
まむし谷については私の体験だけでなく、ここでマムシに咬まれたという記事も見たことがありません。それではなぜ「まむし谷」と名づけたのかは大いに疑問ですが、気になって落ち着かない方は六甲山ビジターセンターにでもお問い合わせください。

なお山中はずっと木陰、しかも多くは川沿い、湖沿いを歩くため苦になるような暑さは感じませんが、湿度がたかいためとんでもないほど汗をかきました。最終的には4本持参した500MLのペットボトルをすべて飲み切りました。

【アクセス】阪急六甲駅~神戸護国神社~登山口~(杣谷沿いの徳川道)~杣谷峠~穂高湖~シェール槍~(シェール道)~まむし谷~炭ヶ谷~神戸電鉄/地下鉄谷上駅
【満足度】★★★★☆

山登り,兵庫

Posted by 山さん