ついでに根古峰に登るひとの評価はあてにならない
【大阪府・河内長野市 2025.9.23】
今日のぼる山は金剛山系にありながらまったく人気のない山です。その山名は根古峰、と聞いても大阪在住の登山愛好家ですらほとんどの方が知らないでしょう。
一日に平均3人登るとして年間1000人、そのうち990人の方はつまらん山だったとぼやき一月もすればそんな山に登ったことすら忘れるかもしれません。
奈良県の二上山から大和葛木山をへて金剛山系へ、この人気の山々をつないであるくルートが関西の登山愛好家なら5回や10回は(あるいは人によっては百回以上も)あるいた経験のあるダイアモンドトレイル(以下、ダイトレ)です。
そのダイトレを金剛山から岩湧山へと歩いていると、【根古峰山頂 ➡】の表示版があります。とはいってもその表示板の立ち姿があまりに健気で謙虚なため(?)ほとんど誰も気づきません。
たまに気づいた人がいても、樹木と下草がうっそうと茂る山道を見上げて登る気が失せるのかそのまま無視して通り過ぎます。
ごくごくごくたまに、分岐道を登っていく人もいるのでしょう(目撃したことはありません)、こういう人たちのことを酔狂な人といいます。なぜといって、10分ばかり樹木の枝と下草をかき分けるようにして登り、ピークらしきところにたどり着いてもそこも灌木の茂み。きょろきょろ探すと、【根古峰】と手書きしたかまぼこ板のごときものが木の枝に下がっているのを見つけるだけです。
今日はその根古峰に登りに行きます。酔狂だからではありません。
根古峰の名誉回復のためというと大袈裟ですが、「ついでに根古峰に登るひとの評価はあてにならない」ということは訴えておきたいと思います。
天見駅から

前方の峰々のひとつが根古峰のはずですが


だと思いませんか?
たとえばあなたがラーメン屋に行ったとします。
さて今日は味噌にしようか塩にしようか、それともオーソドックスに醤油にしようか。
太めの麺と細めの麺を選べる店もあります。
麺の太さは選べないものの、茹で加減で固め軟らかめを指定できる店もあります。
ネギは多めにしましょうか? ご自由に卓上のにんにくチップ入れてくださいね。
あれこれ迷って選んで決めて、あなたはあなたにとっての至極の一杯のラーメンを完成させます。
そしてそのあとでこう付け加えます。「それから、ついでに餃子」



あなたがその日に食べたラーメンについて蘊蓄を語るのも評価するのも大いにけっこうです。あなたにはその資格があるし、SNSで広めれば少なからぬ人に有益な情報となるはずです。
しかし餃子についてはなんら語るべきではありません。なぜなら餃子については、あなたはラーメンのついでに注文したにすぎません。ラーメンのついでに頼んだ餃子についてとやかく言うのは、餃子にたいして失礼というものです。
(そもそも少ない)根古峰に登る人の99%あるいはそれ以上の方は、ダイトレを歩くついでに標識があったから、それだけの理由で根古峰山頂に足を伸ばしたのでしょう。
ラーメンのついでに餃子を頼んだ人がその「ついでの餃子」について評価すべきでないように、ダイトレ歩きのついでに根古峰に登頂した人がその「ついでの根古峰」についてどう評価したところであてにはできません。
葦谷林道

林道とはいっても車の通行はありません
ダイトレを歩くついでに登頂したのでは根古峰の魅力はわからない、ということでダイトレとはちがう道を登り、ダイトレとは異なる道を下るようにします。
ただし登り道から下り道への移動の際にすこしばかりダイトレを歩きます。ここは「根古峰登山のついでにダイトレを歩いた」と解釈してください。
さて葦谷林道ですが、入口の標識がありません。
YAMAPのマップにも道名はありません。
YAMAPで「根古峰」と入力して探してみてください。天見駅から西南(左下)にすすむと「砥石谷」と書かれた赤線の立派な道がありますが、その分岐のすぐ左(西へ徒歩1分)のところに黄線で記された道が根古峰にむかって南へ伸びています。
それが葦谷林道です。

この道をあるく登山客も極マレなので
道はこんな感じ

大丈夫です、歩けます (赤テープの目印もある!)



根古峰山頂

ここの登りも楽ではなかった

葉の形からセンリョウ、マンリョウではない

「かまぼこ板」の記憶よりはいくぶん上出来でした
ダイトレをあるく

すぐにダイトレに合流する
金剛山系をあるいて感心するのは、どれほど人気がない、といって失礼なら登山者のすくない(要するに人気がない)道であれ、親切に標識や目印の赤テープが付けられていること。
以前に金剛山の名もなき剣しい道を登っていたら、道名がないので名を書けないかわりに「ハードコース」と手書きで書かれていました。
大笑いしたあと、思わず表示板に頭をさげました。


ここは「岩湧山」にむかって林道を上がる



真っすぐ階段道を進むと岩湧山(ダイトレ)
樹林帯の下、あるいは渓流沿いを自然を満喫しながら歩く

YAMAPでは黄線でたよりなく表示されています



ここも登りと同じで通行止めの林道


(滑とは滑らかな岩盤上を清らかに水がながれる箇所)



渓流の上に架かる「トチ谷橋」
山里から天見駅へ


今回の根古峰登山は誰にでもオススメするものではありません。
まだまだ有名な山、人気の山を登り足りていない方は是非そちらに挑戦してください。
近辺の有名な山も人気の山も登りつくしたという方で、いままでとは違う山登りの楽しさを探しているという方で – – – 餃子がメインでついでにラーメンを注文した人だけが餃子について評価できる、との考えに賛同できる方なら根古峰の魅力にはまる、かもしれません。
【アクセス】南海天見駅~八幡神社~葦谷林道~根古峰山頂~(ダイトレ)~五ツ辻~(トチ谷?)~竹ノタワ~八幡神社~天見駅 / 21000歩、4時間40分(休憩時間、神社の見学時間などふくめて)
【満足度】★★★★☆