奈良には信貴山朝護孫子寺もある

【奈良県・生駒郡平群町 2022.10.4】
奈良でお寺と言えば、まずは大仏のある東大寺や、聖徳太子が建立した法隆寺あたりを思い浮かべますが、実は奈良にはそれらと比較しても遜色ないのではなく、比較の仕様がないような奇抜な寺があります。
大阪府との県境近く、信貴山(しぎさん)のふところに抱かれるようにある朝護孫子寺(ちょうごそんしじ)がそれです。
創建については、1400年余りまえ、朝敵・物部守屋を討つべく聖徳太子がこの山(信貴山)にきて必勝祈願したところ、天空からあらわれた毘沙門天が必勝の秘法をさずけ、その加護により戦いに勝つことが出来たため、この山を「信ずべき貴い山」として信貴山とし、毘沙門天を祀る寺を建立したとのこと。
さらにその毘沙門天が現れたのが、寅の月の寅の日、さらに寅の時刻であったことから様々な「寅」を神の代理として安置しているそうです。
ですから起源は聖徳太子建立となるのですが、これは「伝承」の域を出ていません。確実に聖徳太子建立とされる法隆寺や四天王寺と比較して、伽藍配置もまったく違うし、なによりも雰囲気があまりに異なります。
密接して立ち並ぶ建物、乱立する毘沙門天の赤い旗、あちこちに配された寅のオブジェ、さらに神仏習合時代の名残りで鳥居もたくさん残っており、それは寺というよりオモチャ箱のようで、聖徳太子をまったく知らない子供をつれてきても退屈させることはないかもしれません。
もちろん本来の姿は、れっきとした信貴山真言宗の総本山です。

紫色のマークが今回訪れた場所です。

仁王門から赤門へ

仁王門が見えてきました
仁王門の手前にある千体地蔵
前方の高所に本堂が見える

前方の高所に本堂が見えてきましたが、その手前進む先に、黄色に黒い縞模様といえば、タイガース、いえいえこれぞ「寅」のお出迎えです。

これが信貴山一番の寅(の張り子)
更に2体の寅(の張り子)
2体の「寅」の先にある赤門
赤門を抜けると鳥居があります

寺の中になぜ神社の鳥居があるのか、「神仏習合」とは?
https://en-park.net/words/7384

毘沙門天のパワー満開(?)

寅、虎、トラ

寅の郵便ポスト
狛犬の代わり(?)の寅
この寅は檻に入っています
こんな悪面の寅もいます
聖徳太子像

数々の、しかも漫画チックなものも混じる寅のなかに紛れて立つ聖徳太子には、居心地は良いのかどうなのか。

なお他にもたくさん寅がいますので、それら寅をさがすだけでも結構楽しめます。

多宝塔から大地蔵尊へ

多宝塔を見上げる
多宝塔
下を見ると、信貴山にはこれほど建物が密集しています
大地蔵尊へ
大地蔵尊と三重塔
こうして見上げると、たしかに大きな地蔵尊

本堂

本堂
本堂から見下ろす
本堂正面(毘沙門天王)
「毘沙門天王」の額の両側にあるムカデの彫り物
本堂より大和盆地を見下ろす
千手院の寅の胎内くぐり

最後に福をさずかる寅の胎内くぐりをして帰路につきます。

【アクセス】近鉄信貴山下駅から歩くのがおすすめルートです。
【拝観料】無料
【満足度】★★★★☆

仕事を引退してプー太郎になり、今日ははじめて平日(火曜日)に出かけることになりました。
あさ大阪から奈良へと向かう電車にはまだ通勤客が乗っていて、その中でリュックをかかえて遊びに出かける自分がなんとも居心地が悪く、なんとなく身を小さくしていました。