荒木村重

黒部亨氏の小説『荒木村重 惜命記』は、タイトルからして謎掛けのようです。日本語に「惜命 せきめい? しゃくみょう?」という語はありません。ところが中国語になると「惜命 シーミォ」と発音してまさに「命を惜しむ」という意味の語があります。結論的なことをさきに述べることになりますが、この小説は唯一「荒木村重はなぜ死ぬことから逃げ続けたのか」に対する疑問に対して、じつに真摯に向き合い読者にその答えを示そうと努めた作品といえます。ほかの小説はというと、自作のストーリーをより興味深いものにするために「荒木村重はなぜ... Read More | Share it now!