山の手であっても山は山、甲陽園から登り芦屋川へ下る

【兵庫県・西宮市~芦屋市 2025.1.30】
六甲山系の東寄り(すなわち大阪寄り)に海側から登るときは西宮市または芦屋市の鉄道沿線から歩きはじめることになります。JR、阪急、阪神の3路線で行けますが、いずれにしろ降車した駅から山手に向かって歩くことになります。
この場合の山手はイメージ通りの「山の手」で、なかには関西屈指の高級住宅街もふくまれています。

じつはこの山の手が苦手です。
理由はお金持ちが住んでいる地域だから、ではありません。お金持ちが集まって住んでいるのは一部地域で大半は平均的な庶民が暮らす住宅地です。
下町との違いは、住宅地が独立しており店舗が少ない。コンビニもほとんど見かけない、規制で自動販売機すらない地域もある。すなわち不便。
周囲はえんえんと住宅がつづくだけで風景に趣きがない、そのなかを急な坂道、しかも舗装された路面の固い道路が山へとむかって伸びている。楽しくもないし足は痛い。

とうことで敬遠しがちなのですが、山手の住宅地をすぎるとそこにあるのはどこにもある山。私にとっては大阪市内から往復1000円以下で行けるうえに歩きごたえのある有難い山々です。

甲山

甲陽園駅から住宅地を上がってゆく
坂道のピークで甲山が見えた
甲山の中腹にある神呪寺・仁王門
境内
境内奥の鳥居をぬけて甲山登山道がつづく

神呪寺かんのうじは神をのろうではなく、神呪が呪文じゅもんと同義語だそうで、ここは真言宗の寺ゆえ「真言の寺」くらいの意味合いではないでしょうか。

階段道を上がって行きます
大阪湾と、西宮~尼崎~大阪の町を見わたす
甲山山頂

甲山は標高309m、山頂こそなにもありませんが、山腹および周辺には神呪寺をはじめ多数の社寺、また甲山森林公園もあり、「歩きごたえのある散歩」にはもってこいの場所です。

北山貯水池

甲山を西へ下ると北山貯水池が見えてくる
北山貯水池を時計回りにまわる
後方に六甲の山並み
ふり返ると、甲山の全姿

甲山の位置づけは六甲山系の前座といったところでしょうか。独立した山で六甲山地には含まれても六甲山系にはふくまれません。
これから登るガベノ城からゴロゴロ岳は、六甲山系にはふくまれますが、六甲山脈からはわかれて標高も低く海側に連なっています。

※山脈(連山も類義語)が複数並行するものが山系、かたまりになっているものが山塊、ひろく一帯に山が集まっている場合は山地と呼び分けているようです。

ガベノ城

すっかり下りてしまいました
あらためて山手住宅地の舗道を上ります
やっと山らしい風景になってきた
岩盤の急坂がつづきます
上の山頂あたりがガベノ城
ふり返ると、左に甲山
ガベノ城の石垣か?
ここが山頂、ということはガベノ城の主郭?

本当にガベノ城なる城があったのか、帰宅してしらべたところ、ある朝日新聞の記事を見つけました。
西宮市教育委員会文化財課の方の推測となっていますが、現場が城跡とは考えられない、石垣も城の防御にしては小ぶりすぎ治山目的で造られたのではないか、だれかがこの石垣をみて城と勘違いしたのでは、ということでした。
朝日新聞の記事
http://www.asahi.com/area/hyogo/articles/MTW20160314290690002.html

ゴロゴロ岳

ゴロゴロ岳へは軽いアップダウン
見晴らしのよいところがありました
ここがゴロゴロ岳山頂

写真には映らないようにしていますが、山頂一帯は保養施設のごとき建物が多数あり、とうぜん自動車で上がれる別の道がつくられていました。

またゴロゴロ岳の名前の由来ですが、岩や石がごろごろあるからだろうと思っていたのですが、なんと標高が565.6m(計測当時、現在は565.3m)ということで標高から山の名がついためずらしい例です。

芦屋川へ下山

芦屋川への下山道は、
まさに岩石ごろごろ
快調に下り、
この岩場を上ると、
展望が開けます

この下りは楽しかった!
逆ルートでこの道をのぼってゴロゴロ岳山頂を目指すのもお薦めします。

芦屋川から六甲の山並みをのぞむ / 六甲駅近く

いわゆる低山歩きですが、甲山は登った分だけほぼ下り、そのあともそこそこのアップダウンを繰返すため歩きごたえはあります。
また深山の雰囲気はありませんが、山道は武骨なところ繊細なところと変化に富んでおり、阪神の都市の町並みとはいえ大阪湾をふくめた眺望をつねに見わたしながらの山歩きは十分に楽しめます。
岩場歩きもありますが、足元に注意していれば初心者でも楽しみながら歩けるレベルです。

【アクセス】阪急・甲陽園駅~神呪寺~甲山~北山貯水池~ガベノ城~ゴロゴロ岳~阪急・芦屋川駅 / 28000歩、4時間50分
【満足度】★★★★☆