東寺のすべて

【京都市 2023.10.12】
今年は真言宗の立教開宗1200年にあたるそうで、京都の東寺において、すべての伽藍をひらいてすべての仏像、仏具を一度に見せてくれるという一大イベントがあります。タイトルはそのまんま「東寺のすべて」。
(立教開宗とは、その宗派の教義ができ上がった時。具体的に言えば、開祖すなわち真言宗の場合なら空海上人が真言密教の教えをひろく説くようになった時を指します)
期間は10月9日から31日までの、わずか3週間ほど。行き逃さないよう早めに行っておきます。

東寺とは

南大門から金堂をのぞき見る

8世紀末、遷都にともない平安京の町づくりを始めるにあたって、その鎮護のため羅生門をはさんで東と西に、それぞれ東寺、西寺がつくられました。
両寺は国の管理を受ける代わりに国から資金面での全面的な援助をうけられる官寺ですが、823年に当時の嵯峨天皇は、このうち東寺を空海上人に下賜し、そのためこの時から東寺は真言密教の根本道場となります。

(西寺については、はっきりした記録が残っておらず、また羅生門とともに跡形もなく消滅しているため、ここでは触れません)

総合受付のある慶賀門(東門)に回る

根本道場(ねもとどうじょう)とはその宗派の総本山のことです。
真言宗といえば、高野山の金剛峯寺が有名で、こちらも根本道場ですが、東寺真言宗と高野山真言宗の違いがあります。
また空海上人が高野山を開山したのは816年ですから、金剛峯寺は山中に造ったことから考えても純粋に修験のため、そのあとで下賜された東寺は平安京にあり広報の意味があったのではないかと、自分なりに解釈しています。(あくまで個人的な解釈です)

「東寺のすべて」の広告
寺内にあった境内案内図より抜粋

境内伽藍を見てまわる

慶賀門を入ると、(この辺りはいつも拝観無料)
食堂(じきどう)
金堂 / 裏手より

食堂、金堂、そして五重塔初層とすべて入って仏像他を鑑賞できるのですが、写真撮影はもちろん厳禁。
それゆえ掲載する写真はありませんが、まちがいなく実物を自分の目で見る価値はあります。

高さ55m、木造の塔としては日本一の高さ
もっとも初層(1階)のみ天井があり、上は筒抜けだそうです
初層の屋根下にいる邪鬼

邪鬼は「あまのじゃく」な性格で、上からの重量にたいして、ひねくれ者ゆえ反発して下から押し返し、それゆえ高い塔が倒れないとの願いを込めているそうです。

金堂 / 正面から
勅使門(朝廷からの使者を迎える門)
御影堂

真言宗の寺院においては、御影堂(宗祖・空海上人の御影を祀る)の方が、金堂(本堂)よりも大きくて立派か、あるいは同等ということはよくあります。
ところがこの東寺はいったん出来上がったののちに真言宗派に下賜されたゆえか、御影堂がちょっとビックリするくらい見劣りします。

塔頭・観智院

北大門から蓮池をわたる
観智院は敷地が狭く立派な写真が撮れません
客殿より庭を眺める
客殿より塀越しに五重塔をのぞむ

【アクセス】JR京都駅より徒歩15分
【料金】「東寺のすべて」入場料:2000円 / 通常、伽藍に入らない参拝のみは無料
【満足度】★★★★★「東寺のすべて」において全伽藍に入れたゆえ