嵐山とおなじ嵯峨野でも、静かな化野と愛宕の念仏寺

【京都市 2026.9.18】
今日は京都市右京区の嵯峨野を訪ねます。
右京区の呼び名について京都在住の方はご存じでしょうが、他府県の方で疑問に思うひともいるでしょうから先に述べておきます。京都市の地図を見れば当然北が上になっており、西は左で、その左に左京区ではなく右京区があります。
これは古代に天皇は北を背にして南にむかって公卿と対面してまつりごとをおこなったことから、天皇から見ると右が西だったという由緒ある(見方をかえると因習的な)理由によります。

嵯峨野と言えば嵐山。
渡月橋をわたって天龍寺から竹林の小径へと北に歩きます。このあたりは京都でも屈指の混雑する地区- – -さらに北へ、 JRの線路をわたり常寂光寺から二尊院 、このあたりまで来ると観光客はずっと減ります- – – さらに北へ、小倉山を左にみる嵯峨野鳥居本の建築物保存地区までくると観光客はまばらになります。
その建築物保存地区を抜けたところにあるのが化野あだしの念仏寺、さらに500mほどあるいて嵯峨野の北端に愛宕おたぎ念仏寺、きょう訪ねるのはこのふたつの念仏寺です。

渡月橋から化野へ

渡月橋
左端が小倉山、その右後方に愛宕山

往路は嵐電を使ったため渡月橋の反対側(北)で下車しましたが、地理的にわかりやすいよう復路で阪急嵐山駅へむかったさいに撮影した写真をアタマにもってきました。

ちなみに – – –
和歌集である小倉おぐら百人一首は、藤原定家がこの小倉山にある山荘で撰歌したことからそう呼ばれるようになったそうです。
和菓子の小倉おぐら餡は、むかしから小倉山のふもとが良質な小豆の産地で、ある菓子職人がその小豆を砂糖と煮詰めて朝廷に献上したのが名の由来だとか。
あらかじめ旅先の情報をしらべプチ知識を身につけて訪ねると、ありふれた風景(この場合は山)であってもぐんと興味深く見えてきます。

嵐山の超混雑地区を歩くのは人混みの苦手な私にとっては苦行でしかないのでその辺りの写真はありません。
これは二尊院のあたり、観光客もまばら。
嵯峨野鳥居本の保存地区
観光客はいよいよ少なくなり、ほとんどが外国人(そのほとんどが白人)

化野念仏寺

たいへん趣のある参道

お寺のHPによると、
「化野(あだしの)」の「あだし」とは、 はかない・むなしいとの意で「化」の字は「生」が化して「死」となり、 この世に再び生まれる事や、極楽浄土に往生する願いを示しています、とのこと。

このあたりはむかし風葬の地で、のちに土葬に変わりますが、ずっと葬送の場所でした。
そのため真言宗の開祖・空海が埋葬された無数の人々を祀るために寺を建立。そののち荒廃していたものを浄土宗の開祖・法然が常念仏道場として中興したそうです。

ここは庭になるのか?
仏舎利塔(三重塔などと同じ仏塔です)
8000基といわれる石塔や石仏が西院之河原にならぶ
西院之河原
西院之河原
西院之河原

竹林の小径をあるいて六面体地蔵へ

本堂
嵐山のものより規模は小さいながら、ここの竹林も風情があります
六面体地蔵

地獄・餓鬼・畜生・修羅・人道・天道それぞれの迷いの世界の地蔵菩薩が六面に彫られています。

ところで六面体地蔵の礼拝の手順は、天道界の地蔵から順に時計回りにヒシャクで水をかけながら回るとのことでさっそく実行したのですが、あとから思い出したら逆向きに回っていました。
あちゃ~、成仏する機会をまた逃した?

愛宕念仏寺

懸造りの地蔵堂

愛宕はいまでは「あたご」ですが、古くは「おたぎ」と読まれていました。
愛宕おたぎ念仏寺は愛宕あたご山の山頂にある愛宕あたご神社とは神仏習合の時代をふくめても特別な関係はないようです。

開基は称徳天皇とのことですが、天台宗派の千観が浄土信仰に感化され、ここに念仏寺として再興したそうです。
特記すべきは境内を埋め尽くす千二百羅漢像。
羅漢とは悟りをひらいた聖者をさしますが、ここの羅漢像は庶民が自由につくっているので、はたして「羅漢」と呼べるのかどうか – – – でも見ているうちにホッコリしてきます。

嵯峨野の北端に位置するそれほど有名でもない寺ながら参拝者は多い
もっとも参拝者というよりも観光客というべきか。しかもほぼすべてが外国人(白人)。
この日も境内に100人ほどがいた中で、日本人(東洋人)は私たち夫婦のみ。ここはホントに京都か?日本か?という心境。
写真は閉館間際の人がうんと減った際に撮影しました
同じ石仏でも摩滅しているもの、苔むしたもの、あるいは整然としたもの、つくられた時代がずいぶん違うのでしょう
見ている側も幸せになるような笑顔
中央は、家内が「バナナマンの日村」と命名
中央はボクサー? その左後ろはサングラス姿?
左端に猫?を抱いた像
これはSNSで有名なのか多くの人が脇に立って記念撮影をしていました。
三宝の鐘 / 「仏」「法」「僧」の文字が刻まれた三つの鐘をつづけて鳴らす。

愛宕念仏寺の拝観料は1000円。寺の規模からいってもずいぶん高いように思うのですが、参拝者がほぼ外国人観光客のみのため外国人用のツーリスト料金として設定しているものと思われます。

【アクセス】嵐山の竹林~化野念仏寺:徒歩20~25分、化野念仏寺~愛宕念仏寺:徒歩5~10分
【拝観料】化野念仏寺:500円、愛宕念仏寺:1000円
【満足度】★★★★★